今後の中国の金保有量はどうなる?
中国の外貨準備に対する金(ゴールド)の保有比率は2%以下と、60%以上の欧州に比べれば見劣りするものですが、だからといって欧州レベルまで高める必要もないわけです。
とはいえ、中国政府も欧州と比較して保有比率が低いということは感じているであろうし、金選好度の高い新興国のインドがIMF放出金を購入して保有量を増大させてきたことは、刺激材料になったものと思われます。
中国が金(ゴールド)にこだわるのは人民元にある?
中国が金(ゴールド)にこだわるのは、その保有割合の低さや、ライバルであるインドに対する対抗心だけではなく、中国の通貨である「人民元」にもあります。
というのは、人民元は、ドルやユーロ、円のように世界の為替市場で日常的に売買されているわけではないからです。
世界の国々からは、中国経済の急成長に伴い、「実質的な固定相場制から変動相場制に移行せよ」という圧力が高まっていますが、中国政府はそれに対しての慎重姿勢を崩していません。
これは、人民元を変動相場制に移行させれば、現在の1ドル=6.8元(2010年2月18日現在)よりも大幅に切り上がることは必至であり、先進国への輸出で潤っている中国企業が大きな打撃を受けることになるからにほかなりません。
しかしながら、いつまでも人民元を変動相場制に移行しないままでいることもできないわけで、いつかは切り上げを受け入れざるを得ません。そこで、中国政府は、そのタイミングを計っているものと思われます。
つまり、同時並行的に金(ゴールド)の保有量を増やしている背景には、人民元が変動相場制に移行した際に、基軸通貨の地位をドルやユーロなどと争う力をつけた時に向けて、ふさわしい量の金(ゴールド)を保有しておきたいという判断が働いていると考えられるのです。
|