IMFが金(ゴールド)を売却すると金市場に影響を与える?
金産出国にはアフリカ諸国など重債務貧困国が多く、IMFが金(ゴールド)を売却したことによって金市場を冷やしてしまったのでは本末転等になってしまいます。
そこで、IMFが金(ゴールド)を売却する際には、市場に影響を与えないように、まず中央銀行に話を持ちかけることにしたのです。
これをGG取引(政府間取引)といいますが、この手法ですと、売却価格は市場価格を参考にしますが、市場を通さないので市場価格に影響を与えることがありません。
もちろん、GG取引が成立しないときには市場で売却することになりますが、その場合でも価格を暴落させないように、一度に売却されないよう、具体的には数年かけて少しずつ売却していきます。
ちなみに、インドへの金(ゴールド)売却価格は、2009年10月19日から30日までの日々の市場価格がベースとなりました。
市場は金(ゴールド)を求めていた?
IMF(国際通貨基金)のインドへの金売却は、単純にIMFが金(ゴールド)を売って、それをインドが買ったという話ではすみません。
というのは、IMFが金売却を計画していた403トンのうちの2分の1に相当する200トンを、まとめて買うという中央銀行が現れたことに、市場が非常に驚いたからです。
しかもその国が、外貨準備が急増してドル以外の資産に分散を志向している中国やロシアといった本命国ではなく、国内の社会基盤づくりに資金を必要としているインドという国だったからです。
さらに、11月16日にはIMFからモーリシャスが2トン、23日にはスリランカが10トン購入しました。
こうしたサプライズ的なニュースに市場は大きく反応し、ニューヨーク金市場の11月の先物価格は20営業日中16日営業日で史上最高値を更新しました。
なお、以前でしたらIMFの保有金売却というのは、市場を冷やす方向へ動くといわれていましたが、今回は市場を加熱させる方向に働いたということですから、それだけ市場は金(ゴールド)を求めていたということなのかもしれません。
その背景としては、前述した、まさに基軸通貨であるドルの将来価値への懸念があるということにほかなりません。
|