金(ゴールド)が再評価された?
2009年に入り、中央銀行が売り姿勢から買い姿勢に転じたことから、状況は一変しました。ちなみに、これは1988年以来21年ぶりのことでした。
こうした状況の背景としては、金融危機により大きく揺らいだアメリカに対する信用不安、つまりドルの将来への懸念がありました。
このままドルを保有していたのでは、資産が毀損するのではないかと考える一方で、金融不安を払拭できないどころか、ギリシャのように財政破綻寸前の国を抱えるユーロ圏にも不安があり、金(ゴールド)を再評価する動きが広がったのです。
IMFがインド準備銀行に金(ゴールド)を売却
2009年11月2日、IMF(国際通貨基金)は、インドの中央銀行であるインド準備銀行に200トンの金(ゴールド)を売却したと発表しました。具体的には、1トロイオンス当たり平均1045ドルで、総額は67億ドルでした。
IMFは、2009年6月にアメリカの上院で403トンの売却認可が可決されたのを受け、同年9月の理事会でこれを正式決定しています。
IMFの資産売却については、アメリカは一国で拒否権を有する投票権を保有しており、早速オファーしたところ、インドが手を挙げ200トンを購入したというわけです。
なぜIMFは403トンもの金(ゴールド)を売却したのですか?
IMFの金(ゴールド)総保有量は3217トンとされています。
その8分の1ほどに相当する403トンの金(ゴールド)を売却したのは、IMFがカメルーンやエチオピアなどの、大きな債務を抱えていて返済が困難な「重債務貧困国」の支援に力を注いで、原資を調達するためといわれています。
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