円の発足について
日本人に最もかかわりのある通貨が「円」ですが、この円という通貨は、1853年のペリー来航による開国によって開始された海外との貿易開始に伴い発足したものです。
1858年(安政5)年に締結された日米修好通商条約には、日本にとり不利な通貨条約が盛り込まれていました。
具体的には、金銀の交換比率が、海外は15対1であったのに対して、およそ日本は5対1だったのです。
つまり、外国人は海外では銀貨15枚で金貨1枚にしか交換できなかったものが、日本に銀貨5枚を持ち込めば、金貨1枚に交換できたのです。
そして、それを海外で銀貨15枚に交換し、再度日本で金貨に交換することによって、およそ3倍にもなる裁定取引が可能だったのです。
これにより、大量の金が日本から海外に流出しました。
ちなみに、当時の土佐(現高知県)藩士坂本竜馬※は、この不公平な通貨条約に気が付いており、明治政府の基本方針となった「五箇条のご誓文」のもとになったとされる「船中八策」の8番目に、「金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事」という文言を加え、金銀比率を正そうとしていました。
もし、坂本竜馬が暗殺されていなければ、不公平な金銀比率是正に乗り出し、海外との貿易活性化に奔走していたかもしれません。
※薩長連合や大政奉還を成し遂げた陰の立役者であるといわれています。 |