FX投資の基礎知識



通貨ペアの組み合わせで分散投資

実現することは可能なのでしょうか?

円が含まれていないドル・ストレートとクロス円を組み合わせて投資すれば、分散効果があるといわれることがありますが、本当でしょうか?

実際、その分散効果を狙ってか、取引できる通貨ペアの数を非常に多く取り揃えているFX会社もあります。

結論から申し上げますと、通貨ペアの組み合わせによって分散投資を実現することは不可能だと思われます。

これはどの通貨ペアを組み合わせたとしても、結局のところ「ドル円」か「ユーロ円」の取引をしていることと同じになってしまうからです。

なぜ「ドル円」か「ユーロ円」の取引をしているのと同じになってしまうのですか?

まず、円を含まないドル・ストレートを日本の個人投資家が取引すると、日本円の動向に影響を受けずに取引ができるのかどうかについて考えてみます。例えば、ユーロドルを取引したとします。

日本の多くの投資家は、円資産を運用しますので、ユーロドルの取引をする場合には、円でドルを借りてユーロを売買し、最終的には借りていたドルを円に戻すという取引をしていることになります。

つまり、ドル円相場の為替変動の影響を受けることになります。これは、他の円を含まないクロス通貨についても同様です。

例えば、ポンドスイスの取引では、円でスイスフランを借りてポンドを売買し、最終的には借りていたスイスフランを円に戻すという取引をしていることになります。つまり、スイス円市場の為替変動の影響を受けることになります。

このように、日本の個人投資家が円を含まないドル・ストレートやクロス通貨を取引しても、結局、日本円を含むドル円かクロス円の動向に影響を受けることになります。

次に、「クロス円」の取引をしているのであれば、結局は「ユーロ円」の取引をしていることと同じことになってしまうことについて考えてみます。

米ドルを含まないクロス通貨の取引高というのは56.9%ほどあるのですが、そのうち、ユーロと円のシェアは3分の1ほどを占めます。

つまり、クロス通貨はそれぞれの国の経済状況を反映して、それぞれ独立した変動をするというイメージがあるかもしれませんが、実際には、このユーロと円への偏りのある構造により、すべてのクロス通貨がユーロ円市場の影響を強く受けてしまうのです。

そして、この傾向は、特にクロス円に顕著に現れます。例えば、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、カナダドル円、ニュージーランドドル円を中長期的に比較しますと、おおよそ似たり寄ったりの動向を見せるのはこのためです。

分散投資は難しい

上記のように、日本の投資家が、円を含まないドル・ストレートの取引をしても、最終的にはドル円かユーロ円の影響を強く受けている取引をしていることとなります。

よって、それをクロス円と組み合わせたとしても、「ドル円とユーロ円」あるいは「ユーロ円とユーロ円」を組み合わせているのと同様になってしまい、通貨ペアの組み合わせで分散投資を実現することは困難であるということになるのです。


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