米ドル下落の要因は?
通常ですと、米ドルは米国内の事情、ユーロはユーロ圏の事情、日本円の動きには、日本の政治経済の事情や、天候事情等が影響します。
しかしながら、いつもそうなるわけではありません。
例えば、2008年7月11日に、為替市場では、ドル/円がわずか3時間ほどの間に、およそ1円も下落しました。
この原因となったのは、イスラエルのイラン攻撃です。どうもその数日前に、イラン側がイスラエルに向けてミサイルを数発試射していたので、それを牽制するのがイスラエル側の狙いだったようです。
では、なぜ、米ドルが、アメリカとは遠くはなれたイスラエルとイランの紛争をきっかけにして売られたのでしょうか。
これはもちろん、一般的な地学的リスクの高まりということもありますが、その最も大きな理由は、イスラエルがアメリカの同盟国だからです。
つまり、同盟国が敵国から攻撃されるのをだまって見ているわけにはいかないので、アメリカもイランを攻撃する可能性が高まると考えられたのです。
そうなると、アメリカの軍事予算が膨張する可能性が高まり、ひいては、アメリカの財政赤字が増大し、最終的にはアメリカの景気にも悪影響を及ぼしかねないとの懸念が広がったのです。
このようなアメリカにまつわる思惑が、複合的に投資家心理に影響を与えて、米ドルが売られることとなったのです。 |